0005_20_05_08_大木葉平 Oki Yohei

0005大木葉平

15歳の時、スペインの親戚の元に送り込まれた中学校高校を経てマドリードで芸術大学に入学。2011年、大学時代に知り合ったMiriam Sanz (ミリアン・サンス)と“SHOOP”を立ち上げ現在に至る。ジャズの即興演奏にインスパイアされた最近のコレクションは国内外で注目を集め、2020年には「TOKYO FASHION AWARD」を受賞。このインタビューはコロナ・パンデミック真っ只中の2020年5月8日にzoomで行い、10月17日に行われた2021年春夏コレクションのために来日した際の10月25日に撮影した。

伊島薫

 

伊島 まずはお名前を教えてください。

大木 オオキヨウヘイと申します。大きい木に葉っぱに平で大木葉平です。

伊島 葉っぱに平の葉平って珍しいですね。

大木 両親の苗字が大木なんで大きい木に葉っぱがなって。みんなが平和になるようにってことで葉平になったみたいです。

伊島 なるほど、素晴らしい。生年月日は?

大木 1986年1月3日です。

伊島 どこで生まれてどこで育ちましたか?

大木 生まれは山梨の山梨市内なんですけど、そのあと両親が八王子に家を買って引っ越したので幼少期は八王子で過ごしました。

伊島 今はスペインに?

大木 15歳からスペインです。

伊島 国籍は?

大木 国籍は日本です。

伊島 ご両親は共に日本に?

大木 はい。悪ガキだったんで15歳のときに「スペイン行ってこい」って言われて。たまたま叔父叔母がスペインに住んでたのでそこに。

伊島 要するに飛ばされたわけですね。

大木 そうです。

その公立の学校にいた時は地獄でしたね。友達もいないし言葉も喋れないし。

 

伊島 どうして15歳でスペインに行ったのか、それが1番疑問だったんですよね。かなり悪かったの?

大木 僕はあんまり悪くなかったんですけど、友人関係がまぁ(笑)

伊島 そういうことか。15歳からスペインということですが、普段使用してる言語は?

大木 スペイン語が主で、ビジネスとかでは英語で話しつつ取引先は日本が多いので日本語も使います。

伊島 15歳で自分の意思ではなく強制的にスペインに行かされてどうだったんですか?

大木 最初は「スペイン語を勉強してこい」って言われて夏休みに行ったんですよ。その時は語学学校で世界中の人と知り合えて楽しかったんですけど、2か月後くらいに親から連絡があって、「日本に居てもやることないからスペイン居続けなよ」って言われて。まあこれはハメられたなって(笑)自分でも考えてみて、スペインに居るのも良いのかなって思って、最初の1年は語学学校でスペイン語勉強して、その後はスペインの公立学校に行って。こっちの中学校は4年間あるので、もう一年中学校に行かないといけなくて。その公立の学校にいた時は地獄でしたね。友達もいないし言葉も喋れないし。初日に黒板に書いてある内容もわからないし、宿題出されても何書いてあるかわからないんで、夜中の3時くらいまで全部辞書で調べたりしてやってました。その時が人生の中でいちばん辛かったですね。

伊島 それは確かにそうとう地獄だっただろうね。

大木 しかもその公立中学校が治安の悪い場所にあって。マドリードのセンター街にあるんですけど、けっこう移民とかが多い学校だったんですよ。ラテンアメリカ人のグループとかアラブ人のグループとかチャイナ系グループ、スペイン人グループなんかがいて、どこかに属さないと、子供同士でも人種間の抗争みたいのがあって。携帯とかも盗まれたし10歳でマリファナを学校で吸ってる子もいたりして。僕は最終的にスペイン人のグループに入ってました。

伊島 そのスペイン人のグループは葉平さんのことを受け入れてくれたんですか?

大木 それがけっこう面白くて、最初彼らには中国人と日本人の区別がついてなくて、中国人中国人って言われてたんです。それが自分の中では嫌だったんですよ。アイデンティティは日本人だし何をすればいいのかなって考えて、「ぼく侍だよ!」って授業中に言ったんですよ。そしたらみんなの見る目が変わって。まだインターネットがスペインで普及してない時代だったので、まだ侍がいるって思い込んでたんですね。それからは凄いリスペクトの目で見られるようになりました。

伊島 それはよかったですね。その地獄のような学校に通わないといけないってところから、それを克服してスペイン社会に馴染むまではどれくらいかかったんですか。

大木 馴染めたというか、楽しくなったのは高校に入ってからですね。こっちは高校から専門が選べるんですよ。アートだったり文系だったり。僕は絵が好きだったからアート系の高校に行ったんです。そうしたらようやく自分と似たような趣味の友達ができました。

伊島 アート系の高校っていうのは、もうアートを専門に学ぶ感じなんですか?

大木 国語とか数学とかの必修科目はあるんですけど、それ以外に絵の授業とか彫刻の授業とかがあって。

伊島 高校は何年で卒業なんですか。

大木 高校は逆に2年間しかないんです。それで2年間で卒業しました。しかもこっちは小学校から留年制度があるんですよ。

伊島 えぇ!?小学生で?

大木 そうなんですよ。僕は1年間語学学校に通ってたから1年のロスがあったんですけど、けっこう留年してる人がいたのでだいたい同じ年頃でした。

伊島 高校を卒業してからは?

大木 高校卒業して、マドリードのコンプルテンセ芸大に入りました。

文化って若い人達を育てなきゃ成長しないし、

そうすれば自分たちにとってもwin-winになっていくはずなのに。

伊島 マドリードの芸大では専門とかあったんですか?

大木 専門はあったんですけど僕はいろんなことやってて、絵画とか版画、グラフィックデザインとかそこらへんをやってました。

伊島 そこからファッションに行こうと思ったきっかけってなにかあるんですか?

大木 大学で勉強してた時にStüssy(ステューシー)っていうアメリカのストリートブランドのお店でバイトをしていたんですが、在籍中に知り合ったミリアンがブランドを立ち上げたので、その時からそっちの手伝いをするようになりました。

伊島 ミリアンさんは大学時代のの同級生なんですね。

大木 そういうわけではなくて、彼女はマークジェイコブスってセレクトショップで店長とかしてたんですけど、小さいころからデザイナーになるのが夢だったらしく、そのタイミングで自分のブランドを立ち上げることになったって感じです。

伊島 それが2011年ってことですよね。

大木 そうですね。最初彼女もブランドで食べていくってのは難しいってわかっていたので、他の仕事と両立しながらやっていて。2013年くらいからメディアで取り上げられたり、有名人にも着てもらえるようになったので、「そろそろちゃんとビジネスとしてやった方がいいんじゃない」と、2人で話し合いました。

伊島 失礼な話かもしれないんですけど、僕なんかスペインのファッション業界ってほとんど知識がなくて。知ってるのってsybilla(シビラ)くらいかな。そんな感じなのでスペインのファッション事情ってどんななのか教えていただけますか?

大木 スペインって他のフランスとかイタリアのヨーロッパの国と比べて自国産のものを付加価値があるブランドとして売るマーケティング力がないと思うんですよね。ホントは良いモノを持っているのに、外国に上手く売り込めないのがマイナスかなと思ってます。だから日本の方も知らないって状況なのかなって。スペイン国内でもパエリアとかの料理だったり伝統文化は自慢げに話すのに、ファッションだったり現在の文化のことになるとスペイン人同士でビジネスとして応援しないんですよ。外国のモノの方が良いって思っちゃってる。お金を持ってる人はフランスとかイタリアのハイブランド買っちゃうような状況です。

伊島 どうしてなんだろうね?

大木 わからないですね。多分、ヨーロッパやアメリカナイズされた日本に意識は似ているんだと思います。

伊島 良いモノもあるのにって仰ってましたけど、ファッションブランドはたくさんあるんですか?

大木 イタリアとか他の国に比べたらそんなにないと思います。一番有名なのはインディテックスグループのZARAとか。ファスト・ファッションの力が強くて、僕たちみたいなインディペンデントのブランドだったり若いデザイナーが活躍できる場があんまりないってのが今の現実だと思います。スペイン人の感覚だとスペイン産のデザイナーズブランド買うんだったら、インスタでも人気のあるメインストリームのブランドのものを買っちゃうっていう感じで、ビジネスの土壌ができていないのが現実だと思います。

伊島 東京ファッションアワード2020を受賞されたってことなんですが、スペインにもパリコレとか東コレみたいなコレクションって存在してるんですか?

大木 一応スペインにも存在しています。それはコンデナストのヴォーグがやってるものだったり、東京ファッション・アワードに近いのは、今年サムスンからアリアンスという保険会社にスポンサーが変わって行われているイノベーション・プロジェクトみたいな賞だと思います。

伊島 なるほど。それも海外の人は参加してなかったり、海外に向けては宣伝してないのかな。

大木 そうですね。日本で言ったらJFWみたいな機関がこっちもあるんですけど、それを運営しているのが年配の方達で、今の状況を把握できてなくて。若い人達を育てようっていう土壌がないんですよね。もう力尽きて国の助成金とかで生きてるような人達が、自分たちの周りだけを囲い込んで自分たちだけ生きていければいいみたいな感覚なので。でも文化って若い人達を育てなきゃ成長しないし、そうすれば自分たちにとってもwin-winになっていくはずなのに、恐怖みたいなものに支配されてるのかな…

こういうふうにブランドだけに専念して食って行けるようになったのはつい最近です。

伊島 ブランド始められたのはいくつくらいだったんですか?

大木 25、26歳くらいですね。

伊島 それからビジネスが軌道に乗って、ちゃんと食っていけるようになったのはいつ頃ですか?

大木 こういうふうにブランドだけに専念して食って行けるようになったのはつい最近です。

伊島 いまの販路はスペイン国内が主なのかそれとも海外が多いの?

大木 ほとんど80%くらいは日本の市場ですね。それプラス中国だったりスペインだったり。

伊島 わりと日本がメインの市場なんですね。それはやっぱり最初に日本に売り込んだんですか?

大木 僕が日本人ということもあって、自然な流れで日本で展示会をやり始めたということもあり、東京のサレンやクレオパトラっていう大阪のセレクトショップなんかが最初に取り入れてくださったりして、そういう人との繋がりで。

伊島 今34歳になってスペインに渡って20年くらいですよね?

大木 そうですね。それくらいです。

伊島 もうスペインにずっと居たいのか、日本に戻るっていう気持ちもあるのかっていうと、どうなんですか。

大木 日本に戻ろうと思ってます。コロナで経済が悪化していくのが見えてるし、日本の方が被害も少なくて、ブランドを成長させていくためには日本の方が良いのかなって思っています。

伊島 コロナがあっての?

大木 そうですね。2か月間外出禁止令が出て、買い物とかの不要不急以外は外にも出られなくて、いろいろ考える時間がいっぱいあったので、結果そっちの方がいいのかなって。

ここ2か月間くらいは町に出たらディストピア(暗黒世界)みたいで。

伊島 コロナのことも少し聞きたいんですが、スペインは相当早い段階から広がってたというか、イタリアの次くらいでしたっけ?

大木 感染者数的にはもう世界第二位だと思います。

伊島 やっぱり知り合いとかで罹ってる人はいますか?

大木 直の知り合いとか仲の良い友達はなってないんですけど。知り合いでICUに入った人もいるし、あとは仕事で僕たちの服の刺繍をやってくれた人のお父さんがコロナで亡くなったとか、そういう話は聞いています。

伊島 やっぱり年配の人が亡くなってるケースが多いんですか?

大木 そうですね。ICUに入っていた人は40代の女性だったんですけど、日本と同じで若い人も感染はしてるんだけど重体じゃないと病院に行けないんですよ。電話で保健所に対応してもらって家で安静にしてろって。PCR検査ができなくてコロナウイルスって判定はされてないけど熱が出て咳が止まらないっていう友人もいました。

伊島 そうか検査してないからコロナかどうか判らないけど熱は出ていて具合悪くて寝てたって人もいるんだ。

大木 そうですね。ミリアンの家族でもありました。

伊島 2か月間の外出禁止っていうのは、みなさんきちんと守ってるんですか?

大木 たいていの人は守ってるんですけど、僕の隣の家の住人は守ってないです。

伊島 感染者数とか死者数の数でしか情報が入ってこないから、かなりスペインはヤバイなって感じなんだけど、大木さんは実際そこに身を置いていて、どれくらいの緊張感とか恐怖感なんですか?

大木 こっちってマスクする習慣がなかったんですよ。それで戒厳令が緩まって国民も気持ちが緩んできて、気を使ってない人も現れてるんですけど、ここ2か月間くらいは町に出たらディストピア(暗黒世界)みたいで。僕の住んでるのはマドリードの先端の中心街なんですけど、観光客もいっぱいで普段は人の行き来も多かったのに今は、人の通りも少なく、歩いている人はみんなマスクも手袋もしていて。ミリアンなんかも買い物した物を漂白剤で洗ったりして完璧にウイルスを遮断して、外から帰ってきたらすぐにシャワーを浴びて身に着けてた服を毎回洗うっていうのを徹底にしていたり。

伊島 そういうのはどこかから、こうしなさいって指示が出るんですか?

大木 国からそういうふうにしろって出てる感じです。この前も外に出たらリーマンショックの時よりひどいくらい店のシャッタ―が閉まっていて、飲食店とか服屋さんの店舗が売りに出てたり。

伊島 休業とか売り上げが落ちてることに対する補償はスペインの場合どんな感じですか。

大木 フリーランスは前期から比べて75%落ちてたり、廃業とか休業しなきゃいけなかったりすると、国から10万円くらいの補償が毎月出てる感じです。

伊島 毎月出るの?

大木 そうですね。非常事態宣言が出てる間は。あと企業には無利子無担保で貸し付けするって制度もあって、国がそういうふうに銀行に要請したんですけど、ある銀行は契約書をちゃんと読んだら利子が付いてたりってこともあるらしくて、僕たちも銀行から借りる時は気を付けるようにって税理士から言われました。

あの時代にガウディに大きな仕事を任せた人達は凄いなと思う。

伊島 日本のマーケットの反応は?

大木 日本がコロナで学校閉鎖とかが始まった2月後半あたりまでは夏のシーズンの洋服は納品が出来てたんで良かったんですけど、やっぱりお店が開けられないってのがあって売り上げは落ちてますね。

伊島 ところで、マドリードには伝統的なスペイン料理のパエリアの店とか三ツ星レストランなんかもたくさんあるって聞いているんですけど。

大木 そうですね。国が力入れてますね。

伊島 それに建築もすごい強いイメージがある中で、アートとかにはファッションと同じくそんなに力を入れてないのかな?

大木 現代アートもそうだと思います。芸大にいた時はダリとかゴヤとかいろいろ勉強しましたけど、マドリードのコンプルテンセ大学ってけっこうアカデミックな学校で伝統的なことしかやってない。先生に聞くと最後のアーティストはピカソだって言っていて、もう100年前くらいの話なのに。現代アートっていうのを大学でそこまで教えてくれないし、海外で売れたら逆輸入があるみたいな。ファッションとかで言ったらパリコレとか特にロンドンコレクションに出てるデザイナーにはパトロンが付くけどスペインにはファッションとかに投資する感覚はあんまりない気がします。建築については、例えばバルセロナなんてガウディがいなかったら海があるだけでまったくなにもない。でもあの時代にガウディに大きな仕事を任せた人達は凄いなと思う。こういうガウディの件みたいに、アートや建築への投資って、将来にとても貢献するものになるのに今、なぜ力を入れないのかわからないです。多分、利権だと思いますが。面白くないです。

伊島 サグラダファミリアっていつできるんでしたっけ?

大木 2024年だったか26年ですね。

伊島 ホントに完成するのかなぁ。

大木 サグラダファミリアに関する陰謀論というのがあって、ガウディがフリーメイソンだったとか、あれが完成する年にはなにか起こるっていう、ガウディコードっていうのがサグラダファミリアに散りばめられてるらしいです。

デザイナー・ブランドにはない下町の婦人服売り場で買ったような

独特なデザインに惹かれることが多いですね。

伊島 ご自身のブランドのことについてお聞きしたいんですけど、インタビューの記事など読ませてもらったんですが、音楽とかストリート系のファッションから影響を受けて作ってらっしゃるってことなんですが。

大木 そうですね。

伊島 ストリートファッションと言っても、それはスペインのストリートファッションなのかそれとも東京の?

大木 世界中の町を見てるんですけど、ストリートスタイルで惹かれるのがおじいちゃんおばあちゃんの服なんです。

伊島 へー。そうなんだ。

大木 けっこうテック系のおじいちゃんおばあちゃんとか、見たこともないようなディテールの服とかを、世界中のおじいちゃんおばあちゃんが着ていて。そういうデザイナー・ブランドにはない下町の婦人服売り場で買ったような独特なデザインに惹かれることが多いですね。

伊島 なんかわかる気がする。東京でいえば巣鴨の地蔵通りみたいな感じだよね?確かにスペインのおじいちゃんとかめっちゃ面白い服を着てそうだよね。

大木 そうですね。昔ながらのおじいちゃんとか歳とってもスーツをピシッと着てる人もいたり、カッコイイ人がいっぱいいますね。

伊島 DJもやってらっしゃるってことなんですが、音楽もかなりお好きなんですか?

大木 そうですね。大学に入る時にホントは音楽をもっと勉強したかったんです。ジャズピアノとかも勉強してたんですけど、こっちには音楽の大学がなくて。でも親に大学行った方がいいよって言われて、親孝行のつもりで芸大に入りました。

伊島 パートナーのミリアンさんは山下洋輔が大好きってインタビューに書いてあったんですけど。

大木 けっこう日本の音楽とかも好きですね。

日本で好きなアーティストはラッパーのYo-Sea(ヨーシー)です。

あとはKOHH(コー)とか、宇多田ヒカルとか。

伊島 ミリアンさんは日本語は喋られるんですか?

ミリアン 日本語は勉強してます。

伊島 ミリアンさんが日本のジャズピアニストの山下洋輔が好きっていうのはホントですか?

大木 それもしかしたら僕の趣味かもしれないです。

伊島 そうか。大木さんが好きなのか。すいません間違えました。ミリアンさんが好きな日本のミュージシャンは誰ですか。

ミリアン いま日本で好きなアーティストはラッパーのYo-Sea(ヨーシー)です。あとはKOHH(コー)とか、宇多田ヒカルとか。

大木 ミリアンはヒップホップとかR&Bが好きなんです。

伊島 なるほど。ミリアンさんは日本に何度か来てらっしゃるんですよね。

ミリアン はい。5回日本に行きました。

伊島 ミリアンさんから見てどうですか、日本は。

ミリアン いいところです。日本は素晴らしい国。人がみんなさんとても優しい。文化は面白い。日本はとても綺麗で大好きです。

伊島 おふたりは日本人とスペイン人じゃないですか。二人の間で文化的な衝突みたいなのはあるんですか。

スペインで「愛してる」って言ったら、普通なら相手も「愛してるよ」って言います

大木 衝突まではいかないと思いますけど日常的に文化的な衝突はあります。僕たちはどっちかというと性格が穏やかな方なんで、スペイン人の女性は日本人に比べて、気が強くてガツガツしてる感じなんすけど、ミリアンの性格は典型的なスペイン人っぽくないんですよ。どちらかというと日本人っぽくて穏やかなんです。でも、たとえば家族に対する考え方とかでいうと、スペインはキリスト教国家なんで家族はすごく大事にするとか、今2か月間外出禁止令が出ているけど、毎日のように家族とテレビ電話で話していたり、なにかの統計で見たんですが、スペイン人って世界一携帯電話で話す時間が長い人種らしくて、ずっと喋ってますね。ともかく家族関係が強くて毎週日曜日は家族でご飯食べるとか、人との付き合い方、人間関係ではありますけど、それほどたいした問題はないですね。

大木 カップルとしての付き合い方も、スペイン人とかラテン系ってもうホントに外でもどれだけ自分達が愛し合ってるのかを伝えるのが好きみたいで、酷い時はパンツの中に手を入れてケツ揉みながら歩いてるカップルもいたりします。それはさすがにちょっと感覚がわからないですね(笑)

ミリアン 私達スペイン人はとてもボディタッチが多いです。

大木 このコロナ以降でどうなるかわかんないですけどね。

伊島 ボディタッチが多いせいで感染者が増えたのかもね(笑)

大木 そう言われてますね。こっちでは友達と会った時、挨拶でハグとかするんですけど、外出禁止令が出る直前だったけど「やめて!」って言ってるのに強制的にされました(笑)

ミリアン でもコロナ以降は誰も挨拶でキスとかしてないですね。

伊島 なんかそういう習慣も今後は変わっちゃうんですかね。

大木 まぁワクチンができればまた戻ると思うんですけど、今のところはそうですね。

伊島 戻ればいいですけどね。そういうのが無くなっちゃうのも寂しい気がしますね。

大木 確かに。でも人間って何百年とやってる習慣をこれで変えられるのかもわからないですけど。

スペイン人って嘘をつくのが下手だから、嘘をついてもすぐ見抜けるんですよ

伊島 葉平さんはミリアンさんのどこに惹かれたんですか?

大木 性格と顔ですね。ミリアンはスペイン人の中でも変わってると思うんですよ。さっきも言ったようにガツガツしてないし自分より人のことを優先しちゃったり。

伊島 日本に戻る時は一緒に来られるんですか。

大木 そうですね。そう考えてます。もともとミリアンも日本に住んでみたいっていうのがあって、ちょうどいいかなって思ってます。

伊島 日本人には日本人の良さがあって、スペイン人にはスペイン人の良さがあると思うんですが、葉平さんは15歳からスペインで暮らしていると、日常生活ではスペインの方が楽とかってことはありますか。

大木 もう長いんで慣れちゃったんですけど、日本に行くとなると逆に緊張しちゃうということはありますね。日本人なのに日本人っぽい行動がとれてるかどうかとか。日本でビジネスをする時に取引先の人とちゃんと敬語が話せてるかとか、社交辞令みたいなことができてるかどうかとか、けっこう緊張します。スペイン人って嘘をつくのが下手だから、嘘をついてもすぐ見抜けるんですよね。でも日本人って奥が深いっていうか、なに考えてるかわからない時があったりして。空気を読めよって感じになってくるんですけど、それが海外で暮らしていると苦手になっちゃいますね。

今思えば良かったと思いますけど、何回か後悔したこともありますね。

伊島 なるほど。身近なことでいいんですが、スペインに住んでいて、スペインの良いところってなんですか?

大木 スペインは、スローライフだから、それがダメなところでもあるんだけど、やっぱり気楽ですよね。友達とかもみんないい人が多いし。まあ、日本もそうなんですけど、他の国と比べたらスペイン人は特に素直で性格が良いのかなって思いますね。

伊島 15歳でスペイン行って良かったですか。

大木 今思えば良かったと思いますけど、何回か後悔したこともありますね。

伊島 後悔?

大木 15歳で子供を海外に送るんだったら、英語圏に送ってほしかったですね。

伊島 そうか叔父さんと叔母さんが居たからって言ってましたね。

大木 そうですね。あと母親が若い頃スペインに住んでたことがあって、ずっとスペインに住むのが夢だったらしく、その夢を託されたらしいです。

伊島 なるほどね。そんなこともあったんだ。結果的に20年くらい居るんですもんね。

大木 そうですね。けっこう流れに身を任せちゃうというか、ブランドを始めたのも流れだし。

伊島 今度日本に戻ってくるのはいつごろになりそうですか。

大木 僕は日本国籍なんで、今の日本の法律的には帰ろうと思えばいつでも帰れるんですが、帰っても空港でPCR検査して陰性でも14日間隔離されるということなんで、14日間も無駄にするのも嫌だなって。あとは日本でも展示会をやらなきゃいけないので、それをいつにするかとか、代理店の方とも話してます。

伊島 通常だと次の展示会はいつですか?

大木 本当なら次は6月にパリコレで、7月に日本だったんですけど、パリコレも9月に移行していて、日本もまだ未定ですね。今展示会やっても地方のお店は来れないですしね。

伊島 そうか。今こうやってZOOMでインタビューしてますけど、できれば今度日本にいらっしゃた時には実際にお会いして、撮影もさせていただきたいなと思っています。なるべく早くそれが実現するといいんですが。

大木 そうですね。今シンガポールのテック系のラボが世界中のデータを集めて、AIでコロナがどれくらいで収束するのかっていうのを計算したら、ヨーロッパなんかはほぼ今月末で収束して、日本でも6月には収束するって計算が出たみたいです。

伊島 ぜひそうなってほしいものですね。では、東京でお目にかかるのを楽しみにしています。

大木 こちらこそ。東京帰ることになったら連絡させていただきます。

伊島 ありがとうございました。

Zoomインタビュー 20_05_08

ファッションショー 20_10_17

撮影 20_10_25

 

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