0002_20_03_12 サラ・タームス・小林 Sara Tames Kobayashi

0002 サラ・タームス・小林

フレンチメキシカンの父と、根っからのワイルドスピリッツを発揮し実践してきた日本人の母の間に生まれ、一言で表現するなら、まったく汚れを知らない清廉で清々しい純粋無垢な少女。

日本の象徴ともいえる東京に暮らしながら、その都会的な外見からは想像がつかない健やかで健康的な心を持つ、当時19歳だったサラさんのインタビューをお届けします。

伊島薫

お母さんが病院とか好きじゃなかったから、わたしとお姉ちゃんをお家で生んで

伊島 まずお名前は小林サラさん。これは本名?サラはカタカナでしたっけ?

サラ はい。お父さんの名前はTames。日本に引っ越して小林に変えました。正確には、沙羅ターメス小林。

伊島 おいくつですか?

サラ 今19歳です。今年の2月に19歳になったばっかりです。

伊島 生まれは2000年代?

サラ 2001年です。

伊島 21世紀生まれだ。(笑)

伊島 どこで生まれて、どこで育ちましたか?

サラ Mendocino National Parkで生まれました。

伊島 メンドシーノ。

サラ そこに山の家があって、お母さんが病院とかそんなに好きじゃなかったから、わたしとわたしのお姉ちゃんをお家で生んで。で、1歳くらいからバークリーの方に引っ越して。

伊島 で、1歳からバークレー?

サラ はい。8歳の時にハワイに引っ越しました。

伊島 あ、8歳からハワイなんだ。

サラ はい、ハワイ島です。

伊島 お母さんは病院にもいかないし。助産婦さんもなしで?

サラ はい。お母さんとお父さんだけで。

伊島 お姉さんも、あなたも。

サラ はい。

伊島 兄弟は。2人だけ?

サラ はい、そうです。

伊島 お父さんはアメリカ人?

サラ お父さんがメキシコとフレンチのハーフで。フレンチメキシカンです。

伊島 で、お母さんは?

サラ 日本人。

伊島 カリフォルニアで知り合ったってこと?

サラ 元々メキシコで知り合って、ラブラブになって、カリフォルニアで結婚して一緒に住み始めました。

伊島 なるほど。で、あなたは日本に来て今何年目?

サラ 15、16歳のときからちょくちょく来ていて、今4年目。きちんと住み始めたのは2年くらい前からです。

伊島 なるほど、それまでは行ったり来たり?

サラ はい。

日本を出るときは日本のパスポートで、アメリカに入るときはアメリカのパスポートで

伊島 あなたの国籍は?

サラ まだどっちでもいけます。

伊島 いわゆる二重国籍ということだ。それっていつか選ばなきゃいけないんだっけ?

サラ たしか二十歳で選ばなきゃいけないんですけど、まだなにも書類は来てないです。

伊島 そうか、じゃあそのまま放っておいてもいいんだ?

サラ あ、そうです、そうです。ずっと二重国籍のままでもOK(笑)

伊島 便利だね。(笑)。それって日本を出るときは日本のパスポートで、アメリカに入るときはアメリカのパスポートでってこと?それは楽だね(笑)あなたが普段使ってる言葉は?

サラ 英語ですね。

伊島 日本語は、今喋っているくらいの感じ?

サラ そうですね。そんなに上手じゃないけど、少しはわかるかな。

伊島 生活には困らないくらいだね。スペイン語は?

サラ ホントにちょっとだけ。(笑)

伊島 じゃあほぼ英語だね?

サラ はい。

伊島 なるほど、今はモデル?

サラ はい、モデルです。

いつかシェフになりたいと思っています

伊島 将来はどうしたいの?

サラ モデルもしたいけど、料理の方も勉強したいと思って、culinary school、料理の学校とか行きたいと思っています。

伊島 なにスクール?

サラ 料理の学校。英語ではculinary school(クーネリー・スクール)って言います。

伊島 クーネリー・スクールって言うんだ。初めて聞きました。

サラ ちょっと難しいかもしれないけど、アメリカでは料理学校は全部culinaryって言います。今年行きたいと思っていて。

伊島 どんな料理がしたいの?

サラ イタリアンが好きです。あとフレンチとか。

伊島 それは、勉強してレストランをやりたいってこと?それともお家で料理したいってこと?

サラ レストランというより、いつかシェフになりたいと思っています。

伊島 へえ、いいね!今はどっちかというと日本にずっといるの?

サラ 今の予定では日本にいると思いますけど…

伊島 これから先は?

サラ まだ考えてないけど、やっぱりどっちも住みたいかな、日本とアメリカ。いろいろ旅して。

お母さんも24歳くらいのときから日本を出て世界中を旅していて

伊島 このあいだあなたのことを初めて聞いたときに、お父さんとお母さんがすごく変わっているというか、ハワイでもほとんど人が住んでいないようなところに住んでいるって聞いたけど。

サラ そうですね、ハワイの中でもすごく田舎のだれもいないところに住んでいて。

伊島 ハワイではもうあなたたち子供がいたわけだけど、最初のメンドシーノではどうだったの?

サラ メンドシーノもやっぱり山の中で、近所にも2人ぐらいしかいなかった。街に行くためには、車で1時間くらいって言ってたかな。

伊島 それってつまりメキシコで知り合ったときからお互いにそういうのが好きなお二人だったの?

サラ そうですね、二人ともワイルドな人で、お母さんも24歳くらいのときから日本を出て世界中を旅していて。けっこうエクスプロア(渡り歩くこと)とかするのが好きで。

伊島 そうすると、メキシコで知り合って、アメリカに行こうってなって、いきなりそういうワイルドなところを探してそこに住み始めたってこと?

サラ そうですね。プランとか立ててなくて、そのときの気分でいろんなことをやってたみたいですね。

伊島 そのメンドシーノでお姉さんとあなたが生まれて、その一年後にバークレーに引っ越したということかな。

サラ そうですね、わたしのお姉さんが4歳でわたしが1歳くらいのとき。

伊島 引っ越した先のバークリーはどんなところだったの?

サラ バークリーはけっこう街の方でした。

伊島 その頃はちょっと街で暮らしたんだ。

サラ 多分LAと比べるともっとちっちゃい街ですけど。

伊島 そこには何年くらいいたの?

サラ 1歳から8歳くらい。

伊島 それなりに長く居たんだね。それで8歳からハワイのそのすごい田舎の方に引っ越したわけだ。

サラ お母さんもお父さんもあっちにはなにも仕事ないのに、でもハワイに住みたいから住むってなって、そのままみんなで引っ越して。そこについてから仕事とか探して…

お父さんは女の子っぽくて、いつもお母さんの仕事について行ってる

伊島 その時、ご両親はどういう仕事をしてたの?

サラ 最初、お母さんがハワイの生活の本を書いて。それが日本で売れて、それからお母さんがゲストハウスを始めて、本を読んだ人たちが遊びに来たいからって大きい土地を買って、それからずっとそういう仕事かな…

伊島 そのゲストハウスも、人があんまり来ないようなところにあるわけだよね(笑)

サラ そうですね。知ってる人しか来ない(笑)

伊島 へえー。おもしろい(笑)お母さんのお名前はなんていうの?

サラ ケイコ・フォレスト。山が好きなので自分で変えて。

伊島 ペンネームのようなものだね(笑)

サラ そうです。

伊島 なるほど。お父さんは?

サラ お父さんは女の子っぽくて、いつもお母さんの仕事について行ってる。お父さんもシェフをやっていて。

伊島 そうなんだ。

サラ そう、だからハワイでもいろんなレストラントで料理とか作っていて。

伊島 そうか、お母さんがけっこうワイルドなんだね(笑)

サラ ハワイもお母さんが行きたいって言って、お父さんは娘たちと一緒にいたいからって、ついて行ったって感じです(笑)

伊島 面白いね(笑)じゃあ8歳からそこで、学校とかはどうしてたの?

サラ バークリーにいたときは普通の小学校で、ハワイに引っ越してからはちょっとジャングル系の学校に行って…

伊島 ジャングル系の学校なんてあるんだ(笑)

サラ そう、学校全体で500人しかいなかった。中学校から高校まで。

伊島 ジャングルの学校というのは、そういう山の中に住んでる子たちが来てるってこと?

サラ すごく緑が多くて、遊ぶ時間も木とか登って、授業もサーフィングとかしてるし。

伊島 ハワイ島?

サラ ハワイ島です。

伊島 ハワイ島にはそんなところがあるんだね。ぼくも行ってみたいな、ケイコ・フォレストの本を読んで(笑)

サラ 14歳から18歳はオンラインの学校だったからコンピュ―ターで全部やっていた。

伊島 じゃあ家でオンラインで勉強をしてたわけだ。

サラ そうです。

伊島 でもそんな頃から日本にも来て、モデルの仕事も始めたわけだよね。

サラ そうですね。

伊島 それはお母さんの国だから?

サラ 最初はそんなことは考えていなくて。14歳だから友達と遊ぶことしか考えてなくて。でもお母さんが「世界のこんなところに日本人」というテレビ番組に出た時に、わたしが娘として挨拶したら、エイジアクロスという事務所から連絡が来て、4、5年くらい前に最初で最後のオーディションがあって準グランプリをもらって。それで日本に来るようになりました。

伊島 そうか、そうすると、日本ではやっぱりハーフって言われるでしょ。

サラ そうですね、だいたい。

伊島 だいたい日本で生まれ育ったハーフの子って、子供のころ顔が外人みたいだっていじめられたりするわけだけど、そういうのは全然なかったわけだよね?

サラ あー、なかったですね。

伊島 じゃあそれでいじめにあったとかいう経験はない?

サラ うーん、なかったかな。それか気づいてないのか…(笑)

伊島 いいね。いじめがあったとしても、顔が違うからとか、外国の血が入っているとか、そういうことではないのかな。これだけ混じってたらわかんないよね(笑)日本にきてからはどう?なんか違和感はある?

日本だとみんな「ありがとうございました」とか言うけど、アメリカだとなにも言わない

サラ やっぱり日本にいるとすごくハーフって言われます。アメリカにいるときは思いっきり日本人だってみんなに思われてたから、それがすごく違う。やっぱりみんなの反応が。

伊島 身長もけっこう高いもんね。

サラ はい、173cmです。

伊島 そうすると日本ではほぼ外人モデル扱いされるって感じ?

サラ あー、そうかもです。

伊島 日本は好きですか?

サラ すごく好き。すごく便利だし素敵な国だと思う。みんな優しいし。みんなすごく気を遣ってくれて、それがうれしい。アメリカではだれも気を遣わないから。すごくいじわる(笑)

伊島 例えばどんなふうにいじわるなの?

サラ コンビニに行ったりすると、日本だとみんな「ありがとうございました」とか言うけど、アメリカだとチェック終わった人にはなにも言わない(笑)

伊島 そうなんだぁ(笑)

サラ すごく冷たい国だと思います(笑)だから日本に来てうれしかった。

伊島 ハワイのジャングルに住んでいたときは、ネイティブハワイアンみたいな人も多かったの?

サラ そうですね、ハワイ人がいっぱいいて、ハワイの言葉もたくさん習いました。

伊島 ハワイ語?

サラ ハワイ語じゃなくて、Pigeon(ピジョン=ハワイなまりの英語:Pigeon English)って言うんだけど、英語だけど変わっている英語。

伊島 へー。関西弁とかそういう感じ?

サラ あー、そういう感じ。

伊島 なるほどね。

サラ ハワイの人はそういう言葉すごく使ってるから、それに慣れてきて。

伊島 じゃあ今あなたが使っている言葉はピジョンなの?

サラ ハワイに戻るとそうだけど、普段は普通の英語です。

伊島 なるほど、ぼくが関西に戻ると関西弁になるのと一緒だ。電話かかってくると急に東北弁になる人とかね(笑)

サラ そんな感じです(笑)。

“Go with the flow” 流れて行く、自由に

伊島 あなたにとって日本はどんな国?

サラ ちゃんとしている国かな。

伊島 ちゃんとしている?

サラ ちゃんとしている。どこに行ってもみんなちゃんとしていて。

伊島 時間にきっちりしてるとか。

サラ すごく気を遣ってるというか、すごく綺麗。海外はどこにいってもいろんなところがすごく汚くて、気持ち悪くはないけど、日本はやっぱりすごくきれいで、すごくセーフって感じる。夜遅くまで外にいても怖くないし。

伊島 なるほどね、たしかに僕もニューヨークの街なんかは汚いなぁって思うけど、でもヨーロッパもそうだけど古いビルとか街並みなんかはすごくいいなって思うんだよね。日本てなんかぐちゃぐちゃな感じがするじゃない。建物も古い木造のものもあれば、アメリカンなものもあれば、ヨーロピアンみたいのもあれば(笑)

サラ 統一されてないですよね(笑)

伊島 そういうのを見てどういう感じがするの?それはそれで面白いの?

サラ やっぱり日本ぽいって思います。

伊島 それはキライじゃない?

サラ うん。好きかな。

伊島 そうなんだ。ニューヨークは行ったことある?

サラ 行ったことないけど(笑)みんなから聞くから想像は出来ます。

伊島 今まで行ったことある国は?

サラ アメリカとメキシコとヨーロッパと日本くらいかな。

伊島 ヨーロッパは仕事で?

サラ そう。パリコレクションで。

伊島 なるほど。まあまだ19歳だからね。

サラ これからもっと旅したいです。

伊島 そんなに先のことは分からないだろうけど、日本とアメリカと半分半分くらいで住みたいって言っていたね?

サラ 住みたいですね。やっぱりアメリカも住みたいし、日本も素敵な国だから住みたいし、ヨーロッパもかっこいいから住みたいし…

伊島 はっはっはっは(笑)

サラ いろんなところに住んでみたい(笑)やっぱりお母さんと似ているからいろんなところを旅していろんなところに住んでみたいです。

伊島 そうこうしているうちにだれかいい人が見つかって、その人と一緒に山奥に住んでたりしてね(笑)

サラ そうですね、お母さんと似てますからね(笑)

伊島 なるほど。わかんないねぇ、まだこの先どうなるか。

サラ じつはそんなに考えてないかもしれないです。

伊島 まあ今はまだ考えられないかもね。

サラ やっぱりそういうところがお母さんとけっこう似てる。Go with the flow。流れて行く、自由に。

ハワイのインパクトがいちばん強いかな、わたしには

伊島 ちょっとお母さんのこと調べていい?

サラ はい。

伊島 (写真を見ながら)これがお母さん?かっこいいね。

サラ ありがとうございます(笑)今ちょうど日本にいます。

伊島 お仕事で?

サラ 今、日本中で講演会をしているみたいで。サラはビーガンじゃないんですけど、お母さんはビーガンなんです。そういう思考の人たちに向けて講演したりとか。けっこうお母さんのファンも多いんです(笑)サラより多いかも。

伊島 そういう方面ではかなり有名なんだろうね、きっと。

サラ これがお父さんとお母さん。メキシコで出会ったときかな。わたしがお母さんに似ていて、お姉ちゃんはお父さんに似ていてグラマラスな感じで、顔は似ているんだけど身長はそんなに高くなくて。

伊島     お父さんもかっこいいね。

サラ ありがとうございます。2歳ぐらいの時かな、一度だけ家族で半年くらいメキシコに住んでいたことがあって。

ハワイにいた時と日本に来てからではぜんぜん違う人になった

伊島 お母さんが日本人でお父さんがメキシコとフランスと、いろんな血が混じっているじゃない。それについては自分でなにか感じる?

サラ やっぱり感じる。でも顔を見るとそんなに感じないかな。メキシコ人と日本人が混じっていて、でもハワイ人ぽい感じもあって。ハワイで育ったからハワイ人ていう気持ちが強いかな。

伊島 8歳から17歳というちょうど成長期に暮らしていたわけだから、ハワイの文化がかなり染みついてるよね、きっと。

サラ はい。ハワイのインパクトがいちばん強いかな、わたしには。

伊島 どういうところがハワイっぽいって言われるの?

サラ ワイルドなところとか、自然が好きなところとか、ハワイの人は気が強いから、たまに喋る時いじわるが出て来ちゃう。わたしも喧嘩するときはそういうところがハワイっぽいかなって思います(笑)

伊島 戦闘的ってこと?

サラ そうかな、うん。

伊島 なんとなくぼくたちはね。ハワイの人ってみんなのんびりしていてあんまり怒ったりしないみたいな、穏やかな感じがするんだけど違うんだ?

サラ 場所はゆったりしたところだけど、ローカルたちはけっこう強い(笑)でもみんな元気なときはすごく優しくて家族みたいにしてくれる。そういうところはいいと思います。

伊島 でもちょっとなにかあるとすぐ「カッ!」となっちゃったりするわけだ(笑)

サラ そうですね。

伊島 いろんなところが混じっているよね。これからそれがどういうふうに出て来るんだろうね。

サラ 日本に来て自分が変わった気がします。最近気付いたんだけどハワイにいた時と日本に来てからではぜんぜん違う人になったから、場所によって変わるんだと思います。

伊島 優しくなったとか?

サラ ちゃんとしました。でも優しくはなってはない(笑)落ち着いた人になったって感じですね。

伊島 年齢的にもね、大人になったというか。アメリカの成人は21歳なんだっけ?

サラ タバコとお酒は20歳からですけど、大人ってカウントされるのは18歳。

伊島 選挙権はあるんですね。

サラ そうですね。

伊島 楽しみだねぇ、これからどんなふうになるのかね。今こうして会って話してるかぎりはすごく穏やかな雰囲気だし、あんまり感情を表に出すというのは想像つかないなぁ。さっき言っていたようにワイルドで意地悪言ったり、怒ったりみたいな感じは…

サラ うん、そういうのはお母さんとかお姉ちゃんに対してくらいかな(笑)

伊島 子供ってたいていそうだよね。我が家でもそうだけど親に対してはけっこうキツくて「こんなんで友達の家とか行った時とかちゃんと出来てるのかな?」なんて心配するんだけど、その友達の親御さんからは「すごく礼儀正しくていいお子さんですねぇ」なんて言われたりして、外ではわりといい子にしてるみたいだよね。面白いよね(笑)

サラ そうですね。

伊島 最後に、あなたがミックスジュースを作るとしたらなにを入れたいか教えてもらえますか。

サラ うーん、バナナ、イチゴ、マンゴー、それに少し水。あとチアシードもお願いします。

伊島 今日はありがとうございました。

サラ ありがとうございます。

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